2017年、春。遂に「中之島フェスティバルタワー・ウエスト」が完成しました!晴れてツインタワーとなって誕生した“フェスティバルシティ”を、早速訪れてみました!
【左】中之島フェスティバルタワー・ウエスト
【右】中之島フェスティバルタワー(写真提供:朝日新聞社)
【遂に完成!中之島フェスティバルタワーウエスト】
2012年11月に完成した、「中之島フェスティバルタワー」は、「音楽の殿堂」と称された旧フェスティバルホールを建て替え、オフィスビル、商業施設と組み合わせた地下3階、地上39階、高さ200mの超高層ビル。その四つ橋筋を隔てた西側にこのたび完成したのが「中之島フェスティバルタワー・ウエスト」です。
「中之島フェスティバルタワー・ウエスト」は、中之島フェスティバルタワーと同じ200メートルの高さを誇る地下4階、地上41階の建物となります。ツインタワーとしては、国内最高の高さであり、ビルとビルの間に公道(四つ橋筋)が通っているのは世界でも珍しいそうです。
耐震性や省エネ機能にも優れたハイスペックな構造となっており、面積は、フェスティバルタワーと比べると、若干「ウエスト」のほうが広めです(敷地面積8,377㎡:8,150㎡、延床面積151,146㎡:146,209㎡)。
中之島フェスティバルタワー・ウエストは、地下鉄肥後橋駅・京阪渡辺橋駅からバリアフリーで直結。ホテルやオフィス、美術館(2018年春開館)などが入っており、地下1階の飲食店街「フェスティバルプラザ」が、両タワーを繋ぎ、自由に行き来できるようになっています。
中之島フェスティバルタワー・ウエストが完成し、新たに飲食13店舗、物販・サービス4店舗の全17店舗が加わったことで、フェスティバルプラザは、中之島フェスティバルタワーの店舗と併せて計49店舗が集まる一大商業施設となります。
今回は新たにオープンした中之島フェスティバルタワー・ウエストの新店舗をご紹介します。
●地下1階 / こだわりのある“食”の名店が集結するフロア
慌ただしい朝やランチタイムなど、ゆっくり時間がとれないときに、すぐ食べられるものが揃うのが地下1階。ファミリーマートのスペシャルエディション版「ファミマ!」や、人気のブーランジェリー「ア・ビアント」などもあるので、多忙なビジネスマンやワーキングウーマンにとってはありがたいですね。
また、“さくっ”と飲んで帰りたい!というときも、このフロアがおすすめです。スパイスやハーブを使った世界各国の料理が食べられる「SPICE&HERB SUPER“DRY”」や、豪快な肉料理とともに100インチのスクリーンでスポーツ観戦なども楽しめる「RED BRICKS」(レッド・ブリックス)などのパンチの効いたお店や、スペインバル、ラーメン、焼き鳥などバラエティに富んだ食の名店が集結しています。
普通のコンビニとはちょっぴり違う“ファミマ!”
北摂の人気店が中之島に進出!
ブーランジェリー・ア・ビアント
豚のしっぽのロゴが可愛いスペインバルerco(エルコ)
こだわりの鶏肉を使った焼き鳥がおすすめ「鳥料理 藤よし」
行列のできるラーメン屋さん「而今」
●1階 / 高感度な大人のためのショップが集うフロア
オフィスやホテルのエントランスが集まる1階には、こだわりのドリップマシンで有名な「Drip X cafe」や、スタイリッシュなレストラン「FIFTH SEASON」がお目見えです。また、オーストラリア、メルボルン発のオーガニックスキンケアブランド「Aesop(イソップ)」や、時計をはじめとする装飾品を扱う銀座の名店「和光」、美術・工芸品をはじめトータルライフスタイルのセレクティブティック「MAGATAMA(マガタマ)」などもあり、特に女性に好まれそうな店舗構成となっています。
「Drip X cafe」
採光が気持ちいいガラス張りの店内(Drip X cafe)
ファクトリー・レストラン「FIFTH SEASON」
「ラボ」という不思議な名前の個室(FIFTH SEASON)
NYの街角にあるような雰囲気です(FIFTH SEASON)
●2階 / 非日常空間で極上の逸品が味わえるフロア
いつもよりちょっと贅沢な気分を味わいたい時や、少しあらたまった席で利用したいのが2階の店舗です。
ワインとともに楽しめるお寿司を提供する「美寿志」、石窯料理&クラフトビールを提供するお店「ROAST(ロースト)」、厚切り焼肉の元祖「TORAJI(トラジ)」、和も洋も堪能できる大人のダイニング「響(ひびき)」、懐石料理の名店「福吉兆」。どのお店も洗練された雰囲気と味わいを楽しめます。現在、オープンの記念割引を行っている店舗もありますので、ぜひご確認のうえ、ご予約くださいね!
ワインと江戸前寿司のマリア―ジュを体感!「美寿志」
クラフトビールとともにいただく石窯料理“ROAST”
中之島限定コースもあり!焼肉「TORAJI」
ダイナミックキッチン&バー 響(ひびき)
全席椅子席で懐石料理がいただける「福吉兆」
【2018年春開館予定「中之島 香雪美術館」】
日本の伝統的な様式「切子格子」をモチーフにしたエントランス
朝日新聞社の創業者である村山龍平氏が収集した日本・東洋の古美術品をもとに、昭和48年、神戸市・御影に開館した「香雪美術館」。その分館となる「中之島 香雪美術館」が、中之島フェスティバルタワー・ウエストの4階に誕生します。
「市中の山居」の創造をコンセプトとするこの美術館は、都心の近代的なビルの空間の中にあって、誰もが気軽に立ち寄れる空間でありながら、静謐で格調ある空気に包まれています。館名の「香雪」は、村山氏の雅号。中之島 香雪美術館では、村山氏のコレクションを中心に、日本・東洋美術の名品を楽しめる展覧会が開催される予定です。
また、御影本館の敷地内にある国の重要文化財に指定されている茶室「玄庵」の再現展示や、旧村山家住宅の室内の再現、村山氏の業績を偲ぶことができるパネル資料などを設置した記念室が設けられます。
「中之島 香雪美術館」の誕生、そして大阪市の新美術館の建設も予定されている中之島。日本国内はもちろん世界でも有数の美の拠点となることでしょう。
国宝や重要文化財の展示も可能な本格的な展示室
村山氏の邸宅の再現
美術品収集のほか、茶の湯にも通じていた村山氏
コンラッド大阪38階ラウンジ
【 2017年6月9日開業予定-スマート・ラグジュアリーホテル「コンラッド大阪」】
大阪にまた1つ、素晴らしいホテルが誕生しました。フェスティバルタワー・ウエストの最高層階(33階~40階)に、このたび新たにオープンするのは、ヒルトンの最高級ブランドである「コンラッド・ホテルズ&リゾーツ」が展開する「コンラッド大阪」です。
「コンラッド」が、なぜ中之島を選んだのか、その理由を支配人のカラン・シンさんに伺ったところ、歴史、文化、アートが融合する中之島は、ゲストの感性がinspire(触発)される環境だから、とのこと。劇場や美術館、歴史的建築物、豊かな水を湛えた川面など、訪れる人の創造性をかきたてる要素が多い中之島の“まち”。そのまちと人々を繋ぐべく「コンラッド大阪」が誕生したのです。
「コンラッド大阪」は、地上200mで、大阪では最高級の高さを誇る宿泊施設となり、大阪の街並みを見下ろすその眺望は、まさに「Your Address in the Sky /雲をつきぬけて」というホテルコンセプトのまま。38階のラウンジには、重厚感溢れる螺旋階段と、広い吹き抜けがあり、天井まで続く一面ガラス張りの窓からは大阪の街並みを遥か彼方まで臨むことができます。
スタンダードタイプのお部屋(デラックスルーム)でも、50㎡の広さがあり、164の全客室から、南・北・西のパノラマビューを楽しむことができるため解放感は抜群。次世代的な最新機器を備えた部屋で、快適かつ極上の非日常的なひとときを過ごすことができます。
ホテル内には、レストランとバー&ラウンジが4店舗-アトモス・ダイニング(オールデイダイニング)、C:GRILL(シ-フードグリル料理)、蔵-鉄板焼き&寿司(和食)、40スカイバー&ラウンジ(バー&ラウンジ)― 入りますので、格別な景色とともにお食事やお酒を楽しむことができます。
(宿泊予約受付中。レストランの予約受付は4月24日より。)
スタンダードクラスのお部屋でも「デラックスルーム」というだけあり50㎡のゆとりがある広さ。
コンラッド大阪33階からの景色。
220㎡の広さを誇るコンラッドスイート。
なんと、バスルームには漆塗りのバスタブが設置されるそうです。
(2017年4月/※画像はイメージです)
晴れ晴れとした青空をバックに色とりどりの大漁旗がはためき、生け簀には悠々と魚たちが泳ぐ・・・ここは「中之島漁港」。堂島川、土佐堀川が合流し、大阪湾へと流れる安治川沿いにある中之島GATEに 2015年2月に開港した大阪の新名所です。
大阪市西区川口。周辺にはオフィスやマンションが建ち並び、警察や税務署などの公的機関や倉庫などがあるものの、目立った商業施設はなく、人通りもそれほど多くありません。 そんな町並みを、安治川方面へ向かって歩いていくと、ぽっかりと中之島GATEの入り口が現れます。中之島GATEは、「インナーベイマーケット・リゾート」をテーマに、水辺魅力向上のためのシンボル空間エリア創出プロジェクトとして位置づけられた場所であり、「水都大阪」のコアとなるスポットとして、注目されています。
同地では水都大阪フェス2013他の社会実験イベントが開催され、その時々でにぎわいを見せていましたが、2015年2月に「中之島漁港」が開港したことで、日常的にたくさんの人が訪れるようになりました。 新鮮な海の幸を目当てに、周辺にお住まいの方だけでなく、仕事帰りのビジネスマン、大型バスで訪れる観光客、そして休日には家族連れなどさまざまなゲストが訪れ、行き交う様は、かつての「天下の台所 大坂」を彷彿とさせます。
◆港と街をつなぐ鮮魚取引所・中之島漁港
「中之島漁港」には、日本各地の漁港から、新鮮な旬の魚介が届けられ、販売されています。 普通の鮮魚店と異なるのは、多くの生け簀があって、通常生では手に入らないような魚が活きたまま販売されていること。例えば、サバなどは、大阪で手に入るのは、塩サバや、酢でしめたものなどが多く、生のものはなかなか口にする機会がありませんが、ここでは、新鮮なサバが生きたまま販売されているため、お造りなどでもいただくことができます。川を挟んだ対岸には、大阪市中央卸売市場があり、業者さん同士の取引が行われていますが、中之島漁港にもプロの料理人の方が業務用として買い付けに来られることもあるのだそうですよ。
ぶっかけ漁師丼
◆新鮮な活魚をその場で食べられる!
また、構内では、市場で提供しているものと同じ食材を使ったメニューをいただくことができます。看板メニューは、漁師の方が船で食べるまかないをイメージした「ぶっかけ漁師丼」。 ご飯のうえに、新鮮な魚がたっぷり盛られたボリューム満点の丼ぶりです。
BBQ場も併設しており、お好みの魚介を注文し、コンロで焼いて食べることができます。この日は赤穂の牡蠣や、岩手産のホタテなどをいただきました。目の前でジュージューと焼ける魚介はどれもプリプリ~♪アツアツを、塩やレモン、ぽん酢などシンプルな調味料でいただきます。お肉のメニューもあるので、お子様や魚介が苦手な方が一緒でも安心です。中之島を背景に、川の流れと大漁旗を眺めながら海鮮料理を食べるのも乙(オツ)なもの。いつも眺めている中之島のビル群が、海辺の街に見えてきそう。
【メニューのご紹介】 ●ぶっかけ漁師丼・・・900円※ミニ漁師汁付 ●日替わり海鮮丼・・・1500円 ※ミニ漁師汁付 ●恵比寿さばのお造り・・・800円 ●若鶏の唐揚げ・・・600円 ●おにぎり・・・100円(1個)
●浜焼きBBQメニュー※・貝焼きメニュー
殻付ホタテ、殻付カキなど・・・300円(1個)
・海鮮焼きメニュー
魚串・・・300円 イカの一夜干し・・・500円
・焼肉メニュー
厚揚げ焼き・・・200円 上ハラミ焼き・・・800円
※メニュー、価格は、変更になる場合がございます。 ※浜焼きBBQは1テーブル300円の炭代が必要です。
◆中之島GATEと旧川口居留地
ところで、現在中之島GATEがある一帯(大阪市西区川口)は、長い鎖国の後、日本が幕末に開国した際に、外港「川口波止場」として開港した場所であり、かつて外国人居留地もあったことを、みなさんご存知でしょうか。まさに、海外から大阪への玄関口=“GATE”だったのです。 川口居留区の歴史がはじまったのは、1868年(慶応4年)のこと。居留地26区画が外国人に競売され、居留地に接する本田・富島・古川・梅本町も外国人雑居地となりました。明治時代には10区画の増設がありこの付近は洋館や教会・学校などが並び、イギリス人,アメリカ人、オランダ人、フランス人、ドイツ人、ベルギー人などが住み、対外貿易の窓口としてだけでなく、文明開化を象徴する地として異国情緒豊かな雰囲気を漂わせていたそうです。 やがて、港は神戸に移ることになり、明治32年には居留地も撤廃されました。いまはその面影はなく、石碑や美しい教会などが、当時の名残を僅かに伝えています。
中之島漁港のある土地は、かつて税関があった場所。今回長らく空き地だったところが、大阪の観光拠点として利用されることになりました。中之島漁港の開港により、蘇り、人々が行き交う中之島GATE。みなさんもぜひ訪れて、水都・大阪の新たな歴史のはじまりにお立ち合いください。
川口居留地跡石碑(川口基督教会近く)
川口基督教会
中之島漁港からの中之島の夜景
(2015年5月掲載/2017年2月更新)
アクセス
〇地下鉄中央線・千日前線「阿波座」駅から徒歩10 分 〇京阪中之島線「中之島」駅から徒歩17 分 〇JR 大阪環状線「野田」駅、地下鉄千日前線「玉川」駅から徒歩20 分 〇大阪市営バス「川口1丁目」バス停から徒歩5分
中之島には「レトロと現代」、「高層ビルと緑」、「ビジネスと文化」など相反する要素がうまく調和した不思議な魅力があります。そんな中之島に新たな魅力が加わりました。「中之島フェスティバルタワー」。それはまさに「ビジネスと文化」が調和した新スポット。今回は、オープン間もない「中之島フェスティバルタワー」の見どころを建築裏話を交えてご紹介いたします。
【驚きの超高層ビル 中之島フェスティバルタワー】
中之島フェスティバルタワーは、「音楽の殿堂」と称された旧フェスティバルホールを建て替え、オフィスビル、商業施設と組み合わせた地下3階、地上39階、高さ200mの超高層ビルです。客席に柱を設けることができない大空間の音楽ホールの上に超高層のオフィスビルを載せるという驚きの構造にも関わらず、中之島フェスティバルタワーは阪神大震災の1.5倍の地震にも耐えられる耐震性能を実現した最先端建築物です。
【帰ってきた音楽の殿堂 フェスティバルホール】
旧フェスティバルホールは、閉館までの50年間に約4000万人が訪れたという国内有数の音楽ホール。その優れた音響特性は「天井から音が降ってくるようだ」とも言われました。新しいフェスティバルホールは、優れた音響特性を継承しつつ、演目に合わせて舞台の大きさを最適化する造り、快適さを向上させた観客席などもっと音楽・舞台を楽しめる空間に生まれ変わっています。 1階の観客席に座ってみた感想は「贅沢」でした。重厚感、高級感ある内装に、大きく座り心地の良い椅子、ゆとりある前後間隔、高い天井などゆったりと楽しめる空間に仕上がっています。また、壁面に用意されたバルコニーボックスの感想は「新鮮」です。オペラや演劇など動きのある舞台の場合、斜め上から舞台を見下ろすこの席は、正面からではわからない、奥行感ある役者の動きが楽しめます。お気に入りの作品なら、視点を変えて楽しみたくなるかもしれません。こけら落としは来春。生まれ変わった音楽の殿堂で、どんな響きが楽しめるのか、今から楽しみです。
【フェスティバルプラザ】
飲食店を中心としたフェスティバルプラザは、中之島フェスティバルタワーの商業ゾーンです。気軽に立ち寄りたくなるお店から、フェスティバルホールでの催しとセットで利用したくなるリッチなお店や保育所などの厳選されたテナントが入居されています。ランチに、仕事帰りに、休日にとオールマイティに使えそうです。
【竹中工務店 岡橋さんに聞く建築裏話】
中之島フェスティバルタワーは、「とにかく入ってみたいと思わせる魅力的なスペースを目指した」という高いこだわりが随所にちりばめられています。加えて、その構造や中之島特有の条件が重なって、実現には多くの困難が待ち受けていたそうです。今回は、工事計画及び品質管理、広報業務の責任者として建設に携わられた竹中工務店 岡橋 稔さんに建築裏話と見どころをうかがいました。
●中之島フェスティバルタワーの建設は、これまでのご経験と比べていかがでしたか?
中之島フェスティバルタワーの工事は、まさに「前人未踏」への挑戦でした。この建設の前に、大阪梅田のハービスエントの工事に関わらせていただきました。その時は「これほど大変な工事はない」と感じたものですが、中之島フェスティバルタワーの建設を経験した今は、「まさか、もっとすごい工事があるとは…」と感じたほどです。
●具体的には、どういった点でご苦労されたのですか?
ひと言で言えないほど大変でした。まずは構造ですね。客席に柱を立てられない大空間のホールの上に土台となるメガトラスと免震層を置き超高層ビルを建てる。この構造を実現することが大変でした。何分、前例のない建設だったので全てが手探り、試行錯誤の連続でした。鍵となる超高層ビルを支えるメガトラスという支柱は、巨大すぎて作れない、運べないという代物でした。そのため分割して製作・運搬し、現場で熟練工による溶接を行いました。
オフィスビルとしての使い勝手を高めるため、外壁から内側約15mは柱がありません。そのため、長さ約20mもの梁が必要でした。また、ホールの上部も同様に長大な梁が横架しています。これらを運び入れるには、荷台だけで20m以上の長大な車とその車が曲がって入れる搬入口が必要です。搬入口の設置にあたっては、人通りが多い地域だけに安全に十分配慮した上で、所轄の天満警察署にうかがいお願いにお願いを重ねました。 苦労は上物だけではありません。特殊な構造をもつ超高層ビルを支える基礎にも大きな配慮が払われています。私の知る限り日本最大級の86mの深さの現場造成杭を打っています。また、すぐ横を走る地下鉄四つ橋線や中之島線に影響が出ては一大事。細心の注意を払って地下工事を進めました。
● 大きな建築物だけに、苦労話のスケールも大きなものばかりですね。では、次に中之島フェスティバルタワーの見どころを教えてください。
そうですね。景色はもちろんですが、このビルは「人間らしい超高層ビル」だと思っています。困難に打ち勝った職人さんたちの仕事の跡を是非見て、触れていただければと思います。
見どころその1.メガトラス 13階のスカイロビーに上がっていただくと間近で見て、触れていただけます。13階から上のオフィス26フロアを支える巨大な骨組みは、その大きさ、迫力だけでなく、溶接跡まで是非見てください。通常の溶接ですと柱の周りを20から30周溶接するのですが、メガトラスでは実に100周以上もの溶接を繰り返しました。今は消してしまいましたが、職人さんが回数を忘れないように、正の字を何度も書いて作業されていたんですよ。
見どころその2.22万個手積みのレンガ 低層階の外壁やフェスティバルホールに使われているレンガの数は約22万個。非常に大きなこのレンガは1個あたり約10kgもあります。これを約15名の職人さんが1個1個手作業で積み上げました。よく見ていただくと不規則に凸凹があります。この凸凹の実現も実は大変で、各人の裁量に任せていては、表情がバラバラになってしまいます。そこでモックアップ(1分の1模型)を使ってイメージを共有し作り上げました。
見どころその3.コンクリートの小叩き仕上げ フェスティバルホールの通路にある梁や壁はコンクリート打ち放しなのですが、その表面には小叩きという細かな細工が施されています。この仕上げですが、コンクリート打ち放し面の表面にノミを打っていくものです。この作業は、斫り(はつり)工と呼ばれる職人さんが行っており、1日に1人で約2平米しか施せない細やかなものです。梁だけでも何本もあり、全て完了させるのに気の遠くなる時間がかかっています。
●ありがとうございます。いろんなところで職人さんの仕事に触れることができるんですね。もう一度行って触れてみます。 最後に中之島フェスティバルタワーの建設に携わられていかがでしたか?
大変でしたが、前人未踏への挑戦は勉強になりました。技術者としてのステップアップにつながったと実感しています。何よりも、お客様に喜んでいただけたことが、私にとっても大きな喜びになりました。そして建設中に見学に来ていただいた方の多くに「感動した」とのお声をいただき、頑張ったことが報われた充足感も感じることができました。 そんじょそこらの建築技術者では普通の超高層ビルは建てられても中之島フェスティバルタワーは建てられない。これを完成させられるのは、私たちだけだと思っています。
中之島の新ランドマークタワー「中之島フェスティバルタワー」は最新技術で作られたスマートなビルかと思っていましたが、職人さんたちの情熱と努力の結晶だったんですね。来春には、フェスティバルホールのこけら落とし公演が催されます。職人さんたちの熱い情熱は、演奏家へと引き継がれ、フェスティバルタワーに、中之島に活気をもたらせてくれることでしょう。
(2014年12月)
「ビジネスエリア」「大人の街」といったイメージのある中之島ですが、大阪市立科学館や中之島公園など、お子様に楽しんでいただけるスポットも多くあります。今回の中之島散策では、小さいお子様連れですと、ちょっぴり心配な、お食事やお泊りといったシーンを、安心・快適にサポートしてくれるリーガロイヤルホテル(大阪)のサービスをご紹介します!
お子様連れでの宿泊には、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンⓇのワクワクを再現した「ユニバーサル・スタジオ・ジャパンⓇコラボレーション・ルーム」や、ハイハイや歩き始めの赤ちゃんでも安心な「ナチュラルコンフォートフロアー」の畳敷きのスイート、4台のベッドを設置したリビングスペースを持つ広々とした「ファミリールーム」などがおすすめ。 その中でも、2012年末に完成した1室のみの「ユニバーサル・スタジオ・ジャパンⓇコラボレーション・ルーム」が、特におすすめ。パークのワクワク感をそのまま写し込んだようなカラフルな客室は、可愛らしいキッズスペースや、仲良く4つ横並びのベッドなど、お子様も大喜びのアイデアが詰まっています!
ステイ中のお食事ははもちろん、ママ友とのランチにも活用したいのがレストラン。「オールデイダイニング リモネ」は、キッズスペースを店内に備えており、長時間じっと座っているのが苦手な小さいお子様を連れてのお食事でも安心♪人気のビュッフェは、なんと大人1名様につき未就学のお子様1名が無料というのもうれしい! オープンキッチンで焼き上がりの瞬間が見える窯焼きピッツァや、シェフが目の前で仕上げるスタンドクッキングのお料理やデザートなどはお子様も大喜び間違いなしです。 また、昨年の3月にオープンしたばかりの最上階のレストラン「日本料理 なかのしま」は、個室が充実しているうえ、召し上がる量に合わせた2種類のお子様メニューをご用意していますので、日本料理を喜ばれるシニア世代を含めて、三世代でのご家族食事会にも喜ばれています。
また、ホテル内には託児施設「リトルメイト」もあり、久しぶりのご夫婦二人きりでのお食事デートの時などにも利用できます。少し成長されたお子様と一緒のご宿泊ならば、西日本のホテルでは最大級の屋内プールでお楽しみいただくのもおすすめです。 小さい子どもがいると、ホテルのような華やかな場所は、ちょっぴり行きづらい、と思っておられた方も多いのでは?リーガロイヤルホテルの行き届いたサービスを利用すれば、お食事や旅行などの特別なひとときが、より想い出深いものになりそうですね!
(2014年1月)
住所
〒530-0005 大阪府大阪市北区中之島5-3-68
URL
http://www.rihga.co.jp/osaka
商都大阪のシンボル、そして中之島のランドマーク的な存在として大正時代から広く親しまれてきたダイビル(旧ダイビル本館)が、甦りました。2013年2月竣工、7月にグランドオープンした新しい中之島のシンボルタワーは、地上22階建て、高さ108m。今回の中之島散策では、名建築「ダイビル」の復活の全貌に迫ります!
【上:旧ダイビル本館※】【下:新ダイビル本館】 ※画像提供:大林組
旧ダイビル本館にはじめて足を踏み入れたのは、いまから約10年ほど前のこと。歴史の息遣いが聞こえてきそうな佇まいと、その重厚な美しさに一目で魅了されました。歩くとコツコツと心地のいい靴音が響くタイル敷の床、ひっそりと営業しているお花屋さんや理髪店、小さな郵便局・・・すべてが古めかしく、時が止まったかのような空間に、ノスタルジーをかきたてられたものです。建築についてまったく知識などなくても、その価値を肌で感じることができました。
やがてこの美しい建物は、その古さゆえ、取り壊されることになったのですが、別れを惜しむ多くの人の想いが伝わり、このたび、「復元」という形で再建されました。
旧ダイビル本館の意匠が残された外観はあの頃と変わらず趣きがあり、中高層部ができたことで背丈が伸びた様(さま)は、まるで昔気になっていた人が、過去の面影をそのままに、より素敵になって現れたかのよう・・・感動的な再会に胸がときめきました。
「復元」には、まず旧ダイビル本館で使われていた古い材料が現代の建築基準を満たしているかどうか調べることからはじめられました。煉瓦やテラコッタの状態を確認しながらの解体作業は、約8か月かかったそうです。解体では、約18万個の煉瓦を手作業で1つ1つ取り外しており、北面・西面の煉瓦の95%以上は旧ビルの煉瓦を再利用したものです。
東面の煉瓦は新しいものですが、古い煉瓦との違和感が出ないように、再利用できなかった煉瓦を粉にして混ぜたり何度も焼き直しをしたりと試行錯誤しながら焼かれたそうです。
※画像拡大
また中央玄関上の大国貞蔵作「鷲と少女の像」をはじめとした石彫刻の多くも、旧ビル解体時に一点一点取り外したものを再利用しています。一部使えなかった部分については、新しい石に彫刻を施し、エイジング加工することにより古びた部分と区別がつかないようにしてあり、見事な修復術に感心。
北側部分に設置されたテラス席は、ヨーロッパのカフェを彷彿させる優雅な雰囲気を醸し出しています。
そして新たに加わった中・高層部は、すっきりとしたデザインで主張しすぎず、低層部を引き立て、建物全体としてのバランスをとるとともに、「関電ビルディング」「中之島ダイビル」との街区全体の調和も図っています。
※画像拡大
館内は、ダイビルってこんなに広かったけ?と思うほど、明るく、開放的な空間に生まれ変わっていました。バラエティ豊かな飲食店、そして近代的なオフィスエリア。
でも、上を見上げると吹き抜けの手すりのレリーフに旧ビルと同じものが使われていたり、レトロな郵便ポストがそのまま残されていたりと、旧ダイビルを知る人にとっては心くすぐられるディティールが散りばめられています。
また、4階のカフェテリア(一般利用可能)にも、旧ダイビルの煉瓦とタイルが使用されています。あの煉瓦を屋内で見ることになるとは思いもよりませんでした。
そして今回の復元でもっとも注目されたのが、ダイビルの歴史をつづる「ダイビルサロン“1923”」のオープン。「ダイビルサロン“1923”」は、かつてダイビルの最上階の西半分にあった、在館者のための社交場「大ビル倶楽部」の雰囲気を再現したスペース。保存されていた扉や棚などを修復・再利用し、当時の雰囲気を再現する装飾品が設けてあり、中之島の歴史を紹介する大型タッチパネル「ダイビルアーカイブス」を設置しています。日本経済を作り上げてきたビジネスマン達を偲びながら思索に耽ることのできる貴重な空間です。
サロンの入口には、大阪大学教授 故 宮本又次先生の1つのメッセージが掲げてあります。
容(かたち)あるものは、やがて朽ちていきますが、人々の想いがそれを留め、新たな時代を拓く足掛かりとして継承されたダイビル本館。みなさんもぜひ、生まれ変わったダイビル本館を訪れて、その魅力をご体感ください!
【左:カフェテリア(4階)】 【右:ダイビルサロン“1923”】
(※2013年6月に取材・掲載した記事です。)
所在地
〒530-0005 大阪府大阪市北区中之島3丁目6-32