中之島散策
中之島の美しい光景を、みんなに知ってもらいたい
「大阪水上バス」企画宣伝部 岸田俊徳さん
中之島人をたずねて
2020.02.17 Mon

大川の水面をゆったりと進むアクアライナーの姿は、今や大阪のおなじみの光景です。
外国人旅行客が増加した昨今では、このアクアライナーは大阪観光の際の目玉の一つとなっています。
このアクアライナーを運営しているのが、京阪グループの「大阪水上バス株式会社」。
今回の「中之島人をたずねて」は、同社の企画宣伝部課長であり、大阪を大いに愛する岸田俊徳さんに、中之島や大阪の川への想いを語っていただきました。

中之島のコミュニティマガジン『島民』で、「水辺で会いましょう」という連載も持っている岸田さん。中之島界隈では、知る人ぞ知る人物。
演劇の世界から、ミナミの劇場のプロデューサーへ転身
若い頃に演劇に熱中し、小劇場に参加していた岸田さん。
当時のことを懐かしそうに話されました。
ー劇団員から、どういった経緯で今の仕事に就く事になったのですか。
「演劇をやっていた頃、テレビのCMなどに出たこともあるのですが、まったく芽が出ませんでした。
それで『これからどうしようか』という時に、タイミングよく劇団で出入りしていたミナミにある劇場で、プロデューサーとして働くことになったのです」
今思えば、劇場での経験が、今の岸田さんのベースになっているそうです。

岸田さんが中之島で一番、好きな場所だという、剣先公園を背景に。するとタイミングよく噴水が。思わずお茶目なポーズをとる岸田さん。演劇をやっていた経験からか、こんなポーズもバッチリ。
「この劇場では演劇だけでなく、落語や浪曲などの芸能も、数多く取り上げていたのですが、ずっと観ているうちに、大阪の伝統的なものというか歴史や文化にも興味を持つようになりました」
そう考えた岸田さんは、約10年間携わってきた劇場の仕事を辞め、「財団法人大阪21世紀協会(現関西・大阪21世紀協会)」へ入られたのでした。
「水都大阪」への関わりから、大阪水上バスへ移籍し辣腕をふるう
「私が入った頃に『水都大阪2009』が開催されました。現在でも水辺のイベントが続いていますが、あの時はいろんな催しがあって、面白かったですね」
そして3年後、協会内での組織改革があり、それを機に大阪水上バスに転職されました。今からちょうど10年前、2010年のことでした。
「私の仕事としては、ひとつは中之島エリアを含む水上観光を盛り上げていくため、中之島にゆかりのある皆さんと一緒に、何か企画を立てて運営していくこと。もうひとつは、弊社観光船の広報・宣伝です」
岸田さんが入社された当時は、今ほど乗船する人も決して多くはなかったそうです。
「まさに底だったと思います。大阪に住んでいる人や働いている人でも、乗ったことはおろかご存じない方も多かったですね。だって私自身、乗ったことがなかったんですよ!(笑)」
そこで前職の人脈を生かしマスコミで取り上げてもらったり、パンフレットやマップ、機関紙を制作し発行したりと、熱心にPRに努められました。
その結果、近年のインバウンド・ブームもあり、同社のクルーズ船は今や大阪の定番と言われるようになってきました。
「1年1年、プロモーションをしっかりと重ねて、お客さまも徐々に根付いてきたと思います。そういう意味で、とても面白い時期に入社させていただけました」

今、岸田さんが企画・編集に携わっているパンフ、「フネヤ」。1号ごとに、大阪水上バスのスタッフを紹介しています。「会社そのものをアピールしていく必要もあると考えまして」と岸田さん。

企画宣伝部の事務所があるのは、京阪天満橋駅にほど近い「川の駅はちけんや」。内部には「大阪シティサップ」の事務所や「大阪ダッグツアー」の発着所、レストランなどもあり、大阪の”水辺遊び”の基地ともいえる施設。
同業者と「ワンチーム」で、水都大阪の魅力をもっと発信
現在、大阪市で観光船を運営している会社は、この「大阪水上バス」以外、数十社あるそうです。
本来はライバル関係にある各社ですが、そのうち11社で「大阪シティクルーズ推進協議会」を作っています。
「現在、その事務局をさせていただき、各社が協力して大阪のシティクルーズを盛り上げて行こうとしています。今、流行りの言葉でいうと『ワンチーム』、チーム大阪ですね」
その成果のひとつが、春の恒例イベント「大川さくらクルーズ」。
乗船客が増える桜のシーズン、各社が協力し10分から30分間隔で随時出航し、水上から大川の桜を楽しめるようにしています。
「大川が一番、美しい季節ではないかと思います。各社が共同して運航させることによって、多くのお客さまが可能な限り待ち時間なしで、乗船できるようにしたかったのです」
これからも、共同運航ならではのメリットを活かした楽しいクルーズ企画が、次々と登場するかもしれません。

パンフレット、チラシ類を整理する岸田さん。チラシを見てわかる通り、さまざまな観光クルーズを企画し、乗船客の増大を狙っています。

11社が参加する大阪シティクルーズ推進協議会が運営する「大川さくらクルーズ」。みんなで一丸となって、大阪の水上観光を盛り上げようとしています。(画像は昨年のものです)
中之島を「島」として感じて欲しい。そして景色を見て欲しい。
ー最後に、大阪の川を愛してやまない岸田さんに、中之島への想いを語っていただきました。
「大阪といえば道頓堀とかタコ焼きとか、コテコテのイメージですが、決してそれだけじゃない。
大阪にも本来持っている、落ち着きのあるオシャレな場所があると思います。
それが中之島なのではないでしょうか。もし中之島に魅力がないと思われているとしたら、それは発信しきれていないからかもしれません。
これからも私たちは、もっと中之島のことを宣伝していかねばならないと思っています。」
ー知っていただくには、どうすればいいのでしょうか?
「中之島をぐるっと歩いて、周って欲しいですね。島であることを実感していただき、川の流れや美しい光景を眺めていただきたいです。そして、良ければウチの船にも乗っていただいて(笑)」
これからも岸田さんが繰り出す、さまざまなクルーズ企画を、楽しみにしたいと思います。

マップを指さしながら、「中之島を、本当の島と感じるには、やはり歩いていただくことですね」という岸田さん。岸田さんも時々、島の周囲を歩いては、船から見える光景と比べたりしているのだとか。

岸田さんが「中之島が最も美しく見えるおすすめのスポット」だという、天満橋の中ほどからの光景。ゆるやかに流れる川をまたぐ、天神橋の橋脚のアーチ形状が美しい。