今日の散策は、玉江橋からスタート。北へ10分ほど歩いたところにあるJR大阪環状線「福島」駅を目指します。お目当ては「福島聖天通商店街」、通称「売れても占い商店街」。なんでも今話題の“占い”スポットなのだそうです。
この商店街の道筋は、福島聖天 了徳院への参拝道として古くより発展してきました。また、明治期の「大坂みち」(後の大和田街道)にあたり、西天満と尼崎を結ぶ重要な物流道路で荷車や人の往来も多かったそうです。昭和初期には北大阪随一の盛り場となり、戦前は心斎橋筋、九条新道、十丁目筋(現・天神橋筋)と並んで大阪の4大商店街と称され、“北の心斎橋”とも呼ばれていたとか。戦後、一時は衰退したものの、“占い”で今再び賑わいを見せるこの商店街。どんなところか期待が高まります。
駅の高架をくぐると左手に商店街のゲートが見え、その幕には“売れても占い商店街”の文字が。通りの両側にもたくさん“のぼり”が立ち、各店の看板には、占いキャラクター「うらら」ちゃんも登場しています。占いは商店街の中で毎日行われるほか、毎週金曜に「売れても占い金曜館」として4館を常設オープン、さらに毎月第4金曜は「売れて売れても占いデー」として、通り沿いに20~30名の占い師がズラリと並ぶのだそうです。 私がおじゃましたのは「売れても占い金曜館」。占い師のスケジュールを「福島聖天通商店街」のホームページでチェックし、今回は、神田翔臣(かんだ・しょうしん)先生にお願いすることにしました。理由は、先生のオフィシャルサイトから優しそうな人柄が伝わってきたからです(単純?)。実際にお会いした先生は笑顔が素敵で、やっぱり優しい方でした。
先生が取り組んでおられるのは、陰陽力量学を使ったオリジナル占い、その名も“マイスター占い”。さっそく生年月日と生まれた時間を伝えると・・・ 「しまちゃんは、まじめで公明正大、明るい子ですね」とまず一言。「でも、ちょっとせっかちでおっちょこちょいです」。なんだかサザエさんみたいな性格なんですね。それから、周りの人に何かとかわいがってもらっているのですが、私自身がそのありがたさに気づいていないとのこと。もっと周りに感謝の気持ちを持って接すると、さらに運が開けるとアドバイスいただきました。運とは自分で作り出すもの。最終的には自分の心がけ次第なのですね。頑張ります!
ところで、今回私が占いをしてもらった場所は、「開運たこやき」というたこ焼き屋の店内。てっきり薄暗い個室で行われるものだと思っていたので、そんなアットホームな雰囲気がかえって新鮮でした。それから、「占いの商店街」のルーツは、このたこ焼き屋の前身である喫茶店のご主人という話を聞き、さらにびっくり。 もともと趣味で占いを勉強していたご主人が夏祭りの夜、占い師に扮し、即席占いを始めるや大好評。これをヒントに“ほんまもんならもっとウケるはず!”と本物の占い師を集め、現在のようなスタイルで打ち出してみたところ、ますます大盛況となったそうです。 また、この商店街では全国からやってくる修学旅行生を対象に「あきんど体験」を実施しています。これは、子どもたちが地元の産地直送品のPRや、売り子体験をすることで、故郷の特産品を見直し、お金や商売の大切さについて学んでほしいという思いから。さらに、手相、人相など占い師の極意を習得できる“占い大楽(だいがく)”に体験入学もできるとか。笑いと人情を交えた大阪らしい体験は、子どもたちの心に残る思い出となるに違いありません。
さて、先生とお別れしたあとは、この商店街を西に進み、もうひとつの目的地、福島聖天 了徳院へ向かいます。夕暮れ前のほのかな日差しの中をのんびり歩き、下校途中の小学生や路地裏で遊ぶ子どもたちとすれ違ったりして、ほのぼのとした下町ムードをしばし満喫。その一方で、オシャレな飲食店なども点在し、なかなか楽しい道のりとなりました。 江戸時代に開山したこのお寺は、ご近所さんでは“聖天さん”の名で親しまれ、昭和初期には年間100万人もの参詣者があったともいわれています。また、易相の大家・水野南北(1760~1837)が熱心な信者となり、江戸後期・寛政から天保にかけ、全国に3,000もの易相弟子を擁したというエピソードは「占いの商店街」構想のきっかけにもなったとか。
お寺ですが立派な鳥居があり、子持ち龍が施された山門は勇壮で、境内の緑も青々と爽やか。亀の池には、俳聖・松尾芭蕉がこの地を訪ねて詠んだという「杜若(かきつばた) 語るも旅の ひとつ哉」と記された句碑もありました。この場所はもともと淀川下流の湿地帯で杜若の名所。今も毎年5月頃になると美しい花を咲かせるそうです。お寺のご利益は商売繁盛、縁結びとのことなので、私もそれにあやかるべく、はりきってお参りしました。
日も暮れてきたところで今日の散策はおしまいです。中之島からほんの少し足を伸ばすだけで、占い師が集まるユニークな商店街があり、昔ながらの下町の賑わいを楽しめるとは、散策する甲斐があったというもの。占いの魅力にはまりつつある私。近いうちにまた訪れてみたいと思います。
(2007年10月9日)
街 路
JR大阪環状線「福島駅」北 なにわ筋より聖天了徳院筋に至る東西約330m
占い
「売れても占い特命館/ご指定館」・・・毎日
「売れても占い金曜館」・・・毎週金曜日
「売れて売れても占いデー」・・・毎月第4金曜日
「売れても占い金曜館」・・・毎週金曜日
「売れて売れても占いデー」・・・毎月第4金曜日