安治川越しに大阪市中央卸売市場本場を臨む
暖かな春の陽気に誘われて、今日は大阪市中央卸売市場本場まで行ってみることにしました。 昭和6年に開設された大阪市中央卸売市場本場は、中之島の西の端、以前訪れた味の素グループ大阪ビルをさらに西へ向かい、船津橋を渡ったところにあります。 その広さは、日本最大級の延床面積32万平方メートル、甲子園球場の8倍。せりを終えた車は、1日に1万2千台以上も出入りするのだとか。
水産物・青果・加工食料品などを全国各地から入荷して、大阪やその周辺都市へ供給します。海外からもさまざまな食材がやってくるそうで、現代人の多彩な味覚と食生活の豊かさを垣間見ることができます。
水産物・青果・加工食料品などを全国各地から入荷して、大阪やその周辺都市へ供給します。海外からもさまざまな食材がやってくるそうで、現代人の多彩な味覚と食生活の豊かさを垣間見ることができます。
果物卸売場 はっさくのせりの様子
市場で一番活気があるのは朝5時頃から8時頃ですが、今回私が参加したのは、朝9時から始まる「市場見学ツアー」。現在、年間1万人を超える見学者が訪れるという人気のツアーです。この日は8時50分に集合して簡単な説明を受けると早速、果物せりの見学へ。 到着すると「はっさく」のせりが行われていました。せりは、買い手が競争して値段をつけ、一番高い値段をつけた人が買うことができます。場内は威勢の良い掛け声が響き、買い手は指を使った独特のサインで買い値を伝えます。交渉が成立し、買い手が決まった品は次々と仲卸店舗から運び出され、大阪とその周辺都市のスーパーや果物屋へ運ばれていきます。
昆布屋さんの店先。八軒家に関する冊子も配布されています。
せりの様子を見学したあとは、80店舗ほどある仲卸店舗が集まる果物卸売場へ。ここの果物は市場らしく箱単位での仕入れ体験(小売店舗等の疑似体験)が基本です。店頭にはキウイ・フルーツほどの大きさの「だるま苺」という珍しいイチゴを発見しました。量産され、いつでも食べられるスナック菓子と違い、その時期に一度きりしか食べられない果物。もっと丁寧に、大切に、食べないと・・・なんて思ってしまいました。
続いて水産仲卸売場へ。鮮魚180店舗、加工水産物(塩干物)90店舗ほどの仲卸店舗が集まります。採れたての海産物がいっぱい。イセエビをはじめ多くの魚介類の生け簀(いけす)もあります。マグロは朝4時過ぎからせりが始まるため、今回のツアーで解体の様子は見学できませんでしたが、解体後の加工風景に出会うことができました。先輩に教わりながら慎重にキハダマグロの解体作業を進める新人さんの真剣な表情に、こちらもちょっぴり身が引き締まる思いです。
その近くには、魚介類を使った干物や削り節など水産物の加工品のお店が並んでいます。削り節は一般的なカツオだけでなく、サバやアジなど、さまざまな種類の削り節がありました。お店の方のご厚意に甘えて、カツオ節になる前の固形のカツオを見せてもらったり、それぞれの削り節を食べ比べさせてもらいました。やはり削りたては香りがだんぜん違います。あまりの香ばしさに思わず「これ、ください!」。お店の方は、カツオ節を豪快に紙袋に詰めながら「冷蔵庫やなくて冷凍庫で保管したほうがええよ」と笑顔で教えてくれました。
お次は別館の展示ホールで、開設当時から現在までの市場のジオラマを見ながら係員の方に市場の歴史をうかがいました。昭和30年代後半から40年代の本格的なトラック輸送の時代を迎えるまで、大阪湾から安治川をさかのぼって数多くの貨物船が大阪市中央卸売市場の岸壁に横付けして荷揚げを行ったり、敷地に国鉄の線路が引き込まれ、貨車で運搬されていたそうです。
市場内を忙しそうに走るターレットという小型の運搬車やフォークリフトなどのジャマにならないように移動しながら、いよいよ最後の見学場所、野菜仲卸売場に向かいます。120店舗ほどの仲卸売場が連なるこの場所も、せりはすでに終わっていましたが、出荷を待つダンボールたちがうずたかく積みあがっていました。 最後に研修室で早朝のマグロのせりの様子をビデオ鑑賞。その雰囲気を味わいました。大量のマグロが一面に並べられた卸売場は圧巻です。今回、見学ツアーで市場を歩き回って思ったのは、一生懸命働いている大人は本当にカッコイイ!ということ。子どもたちに見せたい、大人たちの素敵な背中でした。
以上で2時間ちょっとの見学ツアー終了。係員の方にご挨拶し、市場をあとにしました。
あちこち歩き回ったので、おなかが減ってきたみたい。 というわけで、散策の締めくくりは、市場の正面入口左手にある、寿司「ゑんどう」へ。市場で働く人からスーツ姿のサラリーマン、地元のおじいちゃんまで、いろんな人に愛され、2006年で創業100年を迎える老舗です。名物は、握りこまない独特の“つかみ寿司”。朝一番に仕入れた新鮮なネタ5カンが1皿に並ぶ「上まぜ」が1050円と、嬉しいお値段でいただけます。その味はまさに絶品。魚介のダシがギュッと詰まった「赤だし」(300円)も最後の一滴まで美味しくいただきました。
市場を出てから船津橋を渡って、南へ歩くとほどなく靱公園に到着。靱公園周辺も気になるエリアではありますが、この辺りの散策はまたいつかということで、今日はこれでおしまいです。
あちこち歩き回ったので、おなかが減ってきたみたい。 というわけで、散策の締めくくりは、市場の正面入口左手にある、寿司「ゑんどう」へ。市場で働く人からスーツ姿のサラリーマン、地元のおじいちゃんまで、いろんな人に愛され、2006年で創業100年を迎える老舗です。名物は、握りこまない独特の“つかみ寿司”。朝一番に仕入れた新鮮なネタ5カンが1皿に並ぶ「上まぜ」が1050円と、嬉しいお値段でいただけます。その味はまさに絶品。魚介のダシがギュッと詰まった「赤だし」(300円)も最後の一滴まで美味しくいただきました。
市場を出てから船津橋を渡って、南へ歩くとほどなく靱公園に到着。靱公園周辺も気になるエリアではありますが、この辺りの散策はまたいつかということで、今日はこれでおしまいです。
(2006年4月)
住所
大阪市福島区野田1-1-86 大阪中央卸売市場本場
TEL
06-6461-7773
アクセス
JR環状線野田駅より中央卸売市場方面へ徒歩10分
URL
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住所
大阪市福島区野田1-1-86 大阪中央卸売市場本場
TEL
06-6469-7850
アクセス
JR環状線野田駅より中央卸売市場方面へ徒歩10分