大川の桜の開花期間中に運航する「かもめ桜クルーズ」は3日前までの予約がベターですが、当日空席があれば、水上バスのチケットカウンター(京阪天満橋駅の西改札そば)で購入することができます。私が乗ったのは3月の終わり。八軒家浜の船着場に到着すると、目の前に広がる南天満公園の桜は2~3分咲きといったところでしたが、それでも川沿いが春色でにぎわっているのは嬉しいものです。 。
そこに緑色の小さな舟がやってきました。これが「かもめ」ですね!
「かもめ」は定員10名の小さな客船。船長はご主人の中野弘巳さんです。平たく幅広いデザインが特徴的な舟は、もともと熊本で真珠の養殖用に使われていた漁船を改造したもの。水面からの高さは1.5mと低めに造られています。この日は少し寒かったのでコタツが用意されていましたが、暖かい時期はウッドデッキに足を伸ばしてリラックスすることもできます。飲食の持ち込みもOKなので、天満橋駅周辺などでお弁当やおやつを買って乗り込めば、プチ宴会もできそう!?!
八軒家浜の船着場を出発すると、OMMビルを通り過ぎ、大川を北上。川崎橋を越えるとぐっと視界が広がります。爽やかな開放感を楽しんでいると川からせり出すように植えられた桜のパレード! 両岸は全長4.2kmの河川敷に作られた毛馬桜之宮公園です。中野さんの解説によるとその数、約4,800本。桜に手が届きそうな臨場感が味わえるのはオープンエアの舟ならではです。
左手には「桜の通り抜け」で有名な大阪造幣局も見えてきました。こちらもまもなく見頃を迎える桜が咲き並んでいます。桜宮橋をくぐり、帝国ホテル大阪の辺りでUターン。大阪最古の洋風建築、泉布観も近くで眺めることができました。
見慣れたはずのオフィスビルも、川から眺めればこんな形をしていたのかと新鮮な気持ちに。天神橋、難波橋、鉾流橋をくぐり、水晶橋を間近に眺めたあとUターン。この辺りは、東洋陶磁美術館にバラ園、大阪市中央公会堂と、本当に見どころ満載です。特に大阪市中央公会堂や水晶橋などのキリリとした佇まいは大大阪を感じさせてくれます。舟はゆっくりと八軒家浜に向かい、約50分のクルーズは終了です。
中野さんに「かもめ」という名前の由来をお尋ねしました。「冬にシベリアから飛来するかもめたちにとって日本は南国。都会でバカンスを気ままに味わっているんです。そんなかもめのように大阪でまったり過ごしてほしくて」。
桜の季節が終わったあとも、夕焼け鑑賞、お月見、夕涼みなど、使う人のアイデア次第でいろんな舟遊びにアレンジできそう。中之島クルージングで私たちがほしかったのは、こんな“気軽さ”だったのかもしれません。