目立たない路地裏ながら、行列のできる人気店に。
「spectacle KITAHAMA(スペクタークル・キタハマ)」

「お客さまも店員も、同じ空間に居る誰もがイキイキと輝けるステージでありたい」—そんな思いを込めて作られたのが、北浜の川沿いにある隠れ家的な
カフェ「スペクタークル・キタハマ」。
休日になれば多くの人が列を作る北浜の人気店。多くの人を魅了するお店の魅力やオープンまでの経緯を、
オーナーである古田島 善之(こだじま よしゆき)さんに語っていただきました。(スペクタークル=フランス語でステージや舞台という意味)

お店は土佐堀通から小さな路地を入った目立たない場所にある。地下1階、地上3階建てビルをまるごと1棟改修してオープン。


ブルーを基調にした建物で、店の裏手の今橋から見ると、異彩を放っている。この色は古田島オーナーの好きな『地中海の色』をイメージしてデザインされたもの。

■「カフェを作りたい」その想いを叶えるためフランスに渡り修行


      -古田島オーナーはフランスに居られたそうですが、その理由や想いをお聞かせください。

「もともとフランスの古い映画や音楽、文化に惹かれて大学もその方面に進学しました。それと学生の時にカフェで働いた経験から、『みんながワイワイと楽しめる空間が作りたい』という想いも持っていました。
それで卒業する時に『自分でカフェをやりたい。そのため本場のフランスに渡ろう』と思ったわけです。しっかりと料理の基礎を学びたいという気持ちもありました」


スペクタークル・キタハマについて語る古田島善之オーナー。飄々とした雰囲気ながらも、聞く人をお話に没頭させるような魅力にあふれた方。新潟県のご出身で、大阪には全く縁がなかったとのこと。


      -フランスでは6年ほどレストランの厨房で働かれたそうですね。

「いろんなフランス料理店で働きました。ですが、お店を移るにしてもアテなんて全くなくて…。まずレストランに『人を募集していないか』と手紙を書くのです。まぁ、たいてい無視されますけど(笑)。たくさん出すとたまに手紙をやり取りできるようになり、そのうち『ウチに来ないか?』と誘われてそれで移るといった感じでしたね。パリに3年、その後アルザス、ニースと移りましたが、その地方に行こうと思って行ったのではなく『ご縁』ができたから行ったという感じですね(笑)」


      -人との「縁」を大事にしてきた古田島オーナーは、日本に帰国した時もまた「縁」で土地勘のなかった大阪の箕面に辿り着いたそうです。

「カフェをやるといっても6年も外国に居たので当時の日本の状況などわからなかったです。そこでまず、どこか良いカフェがないか探したんです。すると箕面のとあるカフェが私の理想に近かったので、お願いして働かせてもらいました。」


そのカフェで働いた後、古田島オーナーは箕面市内に希望にかなった物件を見つけ、そこで「cafe EZE(カフェ・エズ)」をオープンしました。そして2号店として、2017年12月「スペクタークル・キタハマ」を開店しました。


2階、3階の客席は日当たりも眺めも良好で、ゆっくりと時間を過ごしたくなる空間。★


1階から地下の客席に通じる階段。この階段と地下フロアはあまり手を加えず、ほぼ元のままとの事。それが味わい深い雰囲気を醸し出している。

■フランスの庶民の味で話題に。やがて口コミで広がる


      -1号店、箕面の「cafe EZE」といえば、知る人ぞ知る「箕面カヌレ」の有名店ですね。名物となった経緯をお聞かせください。

「カヌレはアルザスの店で、前菜とデザートを担当していた時に教わった料理です。私としては数あるメニューの中の一つとしてお出ししていました。しかし当時日本ではカヌレがあまり認知されていなかったこともあり、お客さまが珍しがって広めてくださり、当店を代表する名物になりました。お客さまに育てていただいたようなものですね」


      -スペクタークル・キタハマでも箕面カヌレはいただけますが、それ以外のおすすめメニューを教えてください。

「タルト・フランベですね。これもアルザスの料理で、大阪でいえば『お好み焼き』のような現地のソウルフードですね。
薄く伸ばした生地にチーズのソースをかけベーコン、玉ねぎ、マッシュルームを乗せて焼いたシンプルなピザのようなものです。これも日本では馴染みがなかったので、みなさんに興味を持っていただいています。」


こちらが名物「箕面カヌレ」。上品な甘さでいくらでも食べられそう。テイクアウト可能なので、会社の部下や上司へのプレゼントとして、家族のプレゼントとして買われる方が多いそうです。★


こちらが「タルト・フランベ」。ピザのような感じだが、薄くのばされた生地なので、おつまみ感覚でサクサクと食べられる。「女性でも1枚、軽々と食べられます」とお店のスタッフ。★


      -カフェなのでおすすめのドリンクメニューもぜひ教えてください。

「ナチュラルワインをお出ししています。カフェでナチュラルワインを出しているお店がなかったので、やってみたかったんです。それと紅茶もこだわっており、ドイツの『ロンネフェルト』を使っています。
※限りなく自然に造った、化学肥料や化学薬品を使っていないワイン


      -アルコールをはじめとしたドリンクメニューが豊富ですよね。いつでもいただけるのでしょうか?

「はい、通常のレストランのようなアイドリングタイムはありません。まさにパリのカフェのように朝から夜まで開いていますので、午後3時でも定食が食べられ、夜遅くでもコーヒーが飲めます。何時に来ても食べたり(※)飲んだりワイワイ話しながら、みんなで楽しめる店にしたかったのです。」
(※メニューによって食べられる時間帯が異なる場合があります。)



カウンターの後ろに並んだナチュラルワインのボトル。インスタグラムでは、おすすめワインを掲載している。



紅茶ファンにもおすすめ。ドイツ「ロンネフェルト」の紅茶も、常時12種類準備している。



オリジナルココナッツカレーはマイルドな味わいが特長。この写真はランチセットで、いろどり野菜サラダが付いている。他にも日替わりのパスタやキッシュなど美味しそうなメニューが揃っている。



名物の箕面カヌレだけでなく、チーズケーキやオリジナルケーキ、スコーンなどスイーツも豊富に揃っている。

■東京の人から「今、北浜がヤバい」と思われる地域にしたい


      -これから、「スペクタークル・キタハマ」を、どんなお店にしていきたいですか?

「いわゆる『フレンチ・レストラン』ではなく『カフェ』を選んだのは、気軽にお店を集まる場所にしてもらい、みんなでワイワイと楽しく過ごしてもらいたいという想いがあります。ですので、これから5年、10年経っても、 『スペクタークル・キタハマなら、安心していけるよね』 『あそこなら、いつ行っても楽しく過ごせるね』という感じで地元の人に愛され、ランドマークになるような店にしたいですね」


      -地元に密着して、愛されるお店ということですね。

「そうです。ただ『地元』というコミュニティだけではなく、いろんな場所から来ていただくみなさんから、愛されるお店になることでマーケットも広くなっていくと思っています。
東京などのお店にも負けないお店になることで、他の地域のお客さまも呼び込みたい。それが地域の活性化にもつながると思います。
実は北浜、東横堀周辺のお店には、東京のお店から研修に訪れる人も多いんです。」


      -北浜や中之島の活性化に通じる話ですね。

「面白いお店がもっとできて、東京からお客さまにいっぱい来ていただき『今、大阪の北浜ってヤバいぞ!』って思ってもらえたら、本当にうれしいですね(笑)。
北浜や中之島は、パリのセーヌ川にも似ていて、通りの両側にカフェなどがあり、これからもっともっと面白くなると思います。まだまだ当店をご存じない方も多いと思いますが、まず一度お越しいただき、街や店の面白さを感じていただけたらと思います」



スピーディーに注文をこなしていく古田島オーナーとスタッフの方。オーナーはもちろん、スタッフの方々の動きも洗練されており、見ていて気持ちがいい。

<取材レポート>

お伺いした日は休日だったためか、取材中もお客さまが次々と来店されていました。お店を出た時にも店外に長蛇の列!
今、北浜で最も活気のある店のひとつだといえます。カヌレ、タルト・フランベなど、このお店ならではのメニューが楽しめるのも魅力。
古田島オーナーは昨年秋、淀屋橋に3号店「パーラー」というナチュラルワイン・スタンドもオープンさせました。
オーナーが仰っていた通り、北浜が東京の人たちの間で「ホットな街」として話題になる日も近いかもしれません。

(写真★は、スペクタークル・キタハマさまご提供)

(2021年2月取材)

spectacle KITAHAMA(スペクタークル・キタハマ)
住所 大阪府大阪市中央区北浜1-2-2
電話 070-1815-0123
営業時間 11:00~24:00
(新型コロナの影響により、変更の場合があります。詳しくはお店におたずねください)
定休日 無休
アクセス 京阪本線 北浜駅下車 徒歩約4分
大阪メトロ堺筋線 北浜駅下車 徒歩約4分
Instagram https://www.instagram.com/spectacle_kitahama
URL https://mercicannele.base.shop/