気になるお店
懐かしいけれど、新しい味わいの「どら焼き」専門店
「COBATO STAND OSAKA」
パティスリー&スイーツ
2025.03.14 Fri

大川右岸、南天満公園から東天満あたりにかけて、オシャレなカフェやレストランが増え、新スポットとして注目を集めています。
それをけん引するのがBATONグループ。東天満一帯でユニークなお店を次々に展開する同グループが、「どら焼き」専門店として出店したのが「COBATO STAND OSAKA(コバト スタンド オオサカ)」です。
「どら焼き」の新しいスタイルに挑戦する同店について、株式会社BATONの山本友美さんに、お話しを伺ってきました。
(★は株式会社BATON提供)
■「レトロかわいい」をコンセプトに、初の「和」に挑戦!
-大川右岸のこの界隈に、多くの店を出されているBATONグループですが、COBATO STAND OSAKAを新しく出店された経緯など、教えていただけますか。
「もともとBATONは、2010年に雑貨のお店からスタートしました。そのうち来られたお客さまにコーヒーを出すようになり、好評だったので、『カフェをやってみようか』ということになりました」
-もともとは飲食ではなく、雑貨販売だったのですか!?
「そうです。カフェやベーカリー等の飲食店が好評をいただいたタイミングで、雑貨店は閉店しました。ただ、ベーカリーの『コバトパン工場』の一角で、パンと一緒にかわいいギフト品などを販売していたのですが、ちょっと手狭になったので、この近辺で新しい場所を探していました。そんな時、この場所が空いたと聞いたので出店することにしました」

お話しをお伺いした広報担当の山本友美さん。
-初めは「どら焼き」の店ではなく、雑貨の店を開くことになっていたのでしょうか。
「はい。当初はギフト専門店にしようと契約しました。ただ店舗の間取りがL字型で両側にドアがあるし、広さも十分にあるお店だったので、『気軽に立ち寄れるようなテイクアウトのモノを販売できたらいいのでは』という話になり、COBATO STAND OSAKAを出すことにしました。オープンは2023年の2月です」
-BATONグループでは、ベーカリーやチキングリルなど「洋」のイメージが強いですが、「どら焼き」というのはちょっと意外ですね。
「BATONでは、『和』をやったことがなかったので、そういうものに挑戦するのもいいかなというのがありました。『和』でどんな食べ物を取り扱うか、みんなでいろいろ意見を出し合ったのですが、もともとギフト品を扱うお店の一角での展開ですので、食べ物もちょっとした手土産になるものがいいのでは、と考えました。
それと弊社の商品でも『あん塩バター』を使ったものが人気を集めており、あんこの人気が高いことも実感していたので、『どら焼き』にしました」
-「和」ということですが、店内装飾など拝見すると、「どっぷり和風」ということでもなく、洋風と絶妙にマッチした独特の魅力ある空間になっていますね。
「おっしゃる通り、ガッツリ『和』ではありません。BATONグループのそれぞれにお店のコンセプトがありますが、共通するのは『レトロかわいい』というのが根幹にあります。COBATO STAND OSAKAと地続きになっているギフト専門店COBATO STORE OSAKAは、『少し昔のアメリカン』がコンセプトです。COBATO STAND OSAKAは、それに『和』の雰囲気をちょっと混ぜて、店内の調和をとりつつも、雰囲気が若干変わる2店舗という空間を選出しています」

手づくりの装飾品で、「和」の雰囲気を加えた店内。「えべっさん」の置物も、スタッフ自ら彩色されたそうだ。

-ギフト専門店とつながっているので、その連続性も意識されたのでしょうね
「ギフト専門店のCOBATO STORE OSAKAは、昔の海外のテーラーのような感じで、どちらかというと重厚感をイメージしています。それとひと続きの空間ですので、いきなり差がでるのではなく、調和できるように考えています」

写真奥がギフト専門店「COBATO STORE OSAKA」。
■3種類の定番の「どら焼き」に加え、旬の果物を使った季節商品も
-それではCOBATO STAND OSAKAさんのどら焼きをご紹介いただけますか?
「当店のどら焼きは『ドラキチ』という商品名がついていて、3種類あります。オーソドックスな『オリジナル』と、『バタ子』そして『くる美ちゃん』の3つです」

左から「オリジナル」「バタ子」「くる美ちゃん」。
-どれも美味しそうですね。それぞれの特徴を教えてください。
オリジナル ★
「『オリジナル』は、あんことバターと岩塩を使っています。あんこは、北海道で特別栽培された小豆から作られたもので、少し甘さを控えめにしています。
バターは発酵バターのホイップを使い、ふわふわとした軽やかな食感と芳醇な香りが特徴です。最後に岩塩をパラパラっと振って、味にアクセントをつけています。甘じょっぱさがたまらない美味しさです。」

バタ子 ★
「あんこが苦手な方もいらっしゃると思いますので、『バタ子』は、あんこなしで純粋に発酵バターのホイップだけのシンプルなどら焼きです。
ほんのり甘い『かわ』と発酵ホイップバターの相性が抜群で、これも人気です」

くる美ちゃん ★
「『くる美ちゃん』は、『くるみあん』という大豆のあんこを使っています。滑らかなクリームのようなあんこに、カリっとしたローストくるみを入れて、歯ごたえも抜群です。
オリジナルの小豆のあんことは、また一味違うあんこで、これも大変好評です」

-定番の3種の他にも、季節商品などありますか?
「季節商品として、今は(2025年1月取材時)『苺と抹茶ミルクのちびドラ』があります。2ヶ月くらいのペースで季節ものを出しています。
それと、『かわ』だけ、というのも販売しています。ミニパンケーキのようで、これはこれで美味しいです。店内の香りに誘われて、『かわ』をお買い求めいただき、すぐにお召し上がりになる方もいらっしゃいます」

旬の果物などを使った季節商品。次はどんな「ドラキチ」に出会えるか、楽しみ!★



シンプルに美味しい「かわ」。コーヒーのお供に最高かも。
-どれもとても美味しそうですね。COBATO STAND OSAKAさんの「ドラキチ」で、こだわったところは何でしょう?
「生地はすべて手作りで、一番こだわったのは『歯切れ』です。歯切れは、よすぎるとパサつくし、反対にモチモチし過ぎると、ちょっと重い感じになります。何度も試作を重ねて、ちょうどいい歯切れと大きさになるように仕上げました。それに加えて『美味しく最後まで食べていただく』ために、大きさや厚みを絶妙に調整しています。
そして『銅板』を使って焼いています。熱伝導率がよく生地がムラなく焼け、しっとりふわっとした仕上がりに。機械では再現できない職人の技が詰まっています」

「ドラキチ」のマーク、トラのイラストの焼印が押されていく。★
-コーヒーにも、こだわりをお持ちだとか?
「豆は銀座のカフェーパウリスタさんの豆を使っています。深煎りでコクがあるのですが、あっさりとした味わいでとても飲みやすく、皆さん、美味しいと言ってくださいます。
BATONグループでは、どのお店でも同じコーヒーを出していますが、COBATO STAND OSAKAだけは浸漬式(しんししき)という方式で淹れています。浸漬式は熱湯を一度に注いで、時間をおいてから抽出する方法で、コーヒー豆が持つ独特の風味が、しっかり味わえます」
■わざわざ、この店を目指して来てくれるお客さまを増やしたかった・・・
-最近、この近辺もステキなお店が増えましたが、その中でもBATONグループさんの店舗は、どれも心惹かれます。
「ありがとうございます。今、当社が運営しているお店は、天神橋筋商店街を抜けた先にある「CAFÉ TOKIONA」、そして、この天満橋界隈で『COBATO 836』、『COBATOPAN FACTORY』、『SECOND BANANA』、『NEW YORK CHICKEN GRILL』、『COBATO STORE OSAKA』、そしてここ『COBATO STAND OSAKA』の7店舗あります。店が増える度に『ここってBATON STREETみたいだね』といっていたら、ありがたいことにお客さまの中でもだんだん浸透してきて、『BATON STREET』の道標や看板なども出しています。これからももっと、この地域を盛り上げていけたらと思っています」

「BATON STREET」を示す道標(写真左)。各店の前にはバスストップ風の看板が置かれている(写真右)。
-会社名の「BATON」や「COBATO」の名前の由来は何でしょうか。
「BATONはまさに、リレーのバトンのことです。『バトンを繋ぐ』という意味ですが、私たちがやることがいろんな方に繋がり、みんなに幸せが伝えられたらいいな、という想いをこめています。COBATOは、『小さいBATON』の意味です」
-ステキな由来ですね。ところで、そんなBATONグループの本拠地として、この地域を選ばれた理由はあるのでしょうか。
「今でこそ、この辺りもステキなお店が増えましたが、当時から居るスタッフの話だと2010年頃はあまり何もない場所だったそうです。梅田などの繁華街からも中途半端な距離です。何かのついでに来るような地域ではありません。それでもここを選んだのは、『ついでに寄ったのではなく、BATONを目指して、あえてここまで来た』というお客さまを増やしたかったという想いがありました」
-お店の定休日は、火曜から木曜の平日ですね?
「COBATO STAND OSAKAとCOBATO STORE OSAKAは、そうです。
それと先ほどの『わざわざ来ていただく場所』という話につながると思いますが、あえて営業日数を少なくしているという意味もあります」
-BATON STREETは大川のすぐ北側。中之島にもほど近い場所ですが、この地域の印象はいかがでしょうか。昔は人が少なかったというお話しもありましたが・・・
「中之島は公園があって川もあって街もキレイだし、とても心が惹かれます。すごく落ち着いていて、休日にふらっと遊びに行って何かおしゃれなものにいっぱい出会えそうなイメージです。
北浜あたりは若い女性が多い感じですが、中之島は少しアッパーな大人のイメージがありますね」
-最後になりますが、「中之島スタイル」をご覧の方に、何かひと言を。
「まだ私たちBATONのことをご存じない方のほうが多いかと思います。BATONにはいろんなお店があるので、そこを回るだけでも小旅行のような感じになります。そういう気軽な気持ちでフラッと遊びに来ていただけたら、それぞれの店の世界観が楽しめると思います。ぜひお越しください」

一枚一枚、丁寧に手焼きされているスタッフさん。おいしい「ドラキチ」ができあがる!
<取材レポート>
BATONグループが展開されている店舗は、かねがね取材させていただきたいと思っていただけに、今回、ようやくCOBATO STAND OSAKAの取材をお届けすることができて、私もうれしくなりました。
「ドラキチ」は、今までのどら焼きとはちょっと違う味わいで、甘いものが少し苦手という方でも楽しめると思います。
昼下がり、コーヒーと一緒に大川沿いの公園で「ドラキチ」をいただくのもいいかもしれません。
COBATO STAND OSAKA
住所 | 〒530-0043 大阪市北区天満3-5-1 アイアンドアイビル 1F |
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TEL | 06-6232-8149 |
営業時間 | 11:00~17:00 |
定休日 | 火曜日・水曜日・木曜日 |
アクセス | ○京阪本線 天満橋駅下車 徒歩約10分 |