しかし今から数十年前は、大阪や関西ではあまり食べる習慣もなく、「納豆不毛の地」とも呼ばれていました。
そんな大阪で約50年前に創業し、納豆専門の食品メーカーとして普及に努められてきたのが、小金屋食品株式会社です。創業者の小出金司さんが山形から単身大阪に乗りこみ、試行錯誤の末、関西人にも受け入れられる「大阪納豆」を作り上げたのでした。
そんな小金屋食品が、肥後橋からほど近い西区土佐堀に直営店「納豆BAR 小金庵」をオープンしたのは、今からちょうど2年ほど前のこと。
「大阪で納豆専門店?」という不安もあったそうですが、今やマスコミなどでも度々取りあげられ、すっかり中之島かいわいの名店のひとつとなっています。
「ずっと食品卸業者さんを通しての商売だったので、お客さまが全く見えてこないんです。どんな商品をお買い求めなのか、どういう味が好みなのか・・・。それでずっと、“直売”というスタイルを考えていました」
そこで立ち上げられたのが、この「納豆BAR 小金庵」だったのです。
吉田さんの想いとこだわりは、「BAR」という店名にも表れています。
「カクテルをオシャレに選ぶように、自分好みの味わいの納豆を選びお楽しみいただきたいと思い、BARという名称にしました」。
このお店ならではの多彩な味が、心ゆくまでいろいろ試せるのも、「納豆BAR 小金庵」ならではの楽しみといえるでしょう。
※トッピングは現在、8種類の具材が用意されており、大粒・小粒・ひきわりの3種の豆と組み合わせた合計24パターンからセレクトできます。なおトッピング具材のみの販売は行っておりません。またトッピングの具材や種類数は変更する場合があります。トッピング具材についての詳しい情報は、小金庵のホームページの「粋シリーズ(味わいで選ぶ)」でご確認ください。
http://710-bar.co.jp/
その大きな理由はやはり、自らが接客し販売することで、お客さまの声を聞き、すぐに反映し商品のブラッシュアップや新商品開発につなげられるからです。
吉田さんによると「お客さまの『こんなのがいいな・・・』というお声をいただいたら、すぐに対応できるのがメーカーならではの強みです。それに少々思い切った商品にも、すぐチャレンジできることが、メーカー直営だからこそのメリット」だとか。
「他にはない味をお求めなのに加え、材料が全て国産、化学調味料も一切使わないことの安心感もあり、遠くからもお見えになるのだと思います」。
「父が苦労して、大阪や関西の方のお口に合う納豆を作り、『大阪納豆』という看板を掲げました。そこで直営店を出すとしたら、『大阪』を強くイメージしていただける土地をと、ずっと意識して探していました。その点、この土佐堀は商人の街である船場にも近く、『大阪』を強く意識していただけると思い選びました」。
さらに続けて、中之島や土佐堀のもうひとつの魅力を挙げられます。
「橋を渡れば歴史のある中之島。美術館や科学館などもあり、お客さまも本物志向を持つ落ち着いた方が多いのです。オフィスと住居がいい具合に混在していて、素晴らしい環境だと思います」。
「大阪にないものは、滋賀などできるだけ関西のものを使うようにしています。そのために、業界の仲間と情報交換し、常に新しい、安心できる食材を探すようにしています」。
「この2年で、お客さまが新しいお客さまを呼んで来てくださったりと、いい流れができてきたのかなと思います」。
50年以上にわたる小金屋食品の商品力と、卓越した吉田さんのプロデュース力から生まれた、絶品納豆、最後に筆者も、お味見させていただきました。
う~ん、これは普段食べている「納豆」とは全然違いますね。納豆独特の臭みがなく、大豆本来の旨みをしっかりと感じることができました。また、タレの芳醇な香りが見事に納豆の味を引き立てています。
ちょっとドキドキのトッピングも、それぞれが相乗効果を引き出して、とても美味しかったです。
納豆がここまで美味しいとは! 「納豆BAR 小金庵」のチャレンジは、これからも多くの人々の注目を集めることと思います。
※土佐堀1交差点西へ200m(土佐堀通り沿い)