(建物の内部は撮影禁止でした)
1921(大正10)年竣工の大江ビルヂングは、大正時代のモダンと和を融合させたユニークなデザインで知られる建物。以前散策した中央電気倶楽部の設計者である葛野壮一郎氏が手がけています。場所柄、弁護士事務所や法律事務所などのオフィスのほか、ギャラリーやショップも入居しています。
ここから西天満のメインストリート、老松通りの西側入口へ向かいます。東西にのびる老松通りは大阪天満宮の表参道として栄え、現在も天神祭の陸渡御ルートとなっている由緒正しい通り。かつて東海道・山陽道から大阪に入る旅人は、曽根崎天神を通って老松通りから天満宮へ向かったそうです。通りの入口には、明治時代の御堂筋に建てられていた天満宮への道しるべが静かに佇んでいました。
老松通りの道筋にはギャラリーや古美術商、昔ながらの喫茶店が連なっています。のんびり歩いていると「gallery & books edge」の前で制作中のアーティスト田中拓馬さんに出会いました。現在関東で活動中の田中さん、今回大阪で初めて個展を開くため西天満にいらっしゃったそうです。透明のビニール傘に描いているのはなんと、うどん! すぐそばにあったうどん屋さんにインスパイアされたそうですが、開いた傘は確かに上からどんぶりをのぞいているみたい。それを作品にしてしまうなんて本当にワクワクしました。ちらりと見えた赤色は「ちょっと奮発してエビ」だそうです。
キョロキョロしながら歩くうちに、気がつけば老松通りの東端。ここから中之島方面に南下します。裁判所を右手にまっすぐ歩いていると出くわすのが鉾流橋。この橋は天神祭の宵宮で鉾流神事(ほこながししんじ)が行われる場所。橋畔で神鉾を持った神童が斎船で堂島川にこぎ出し、船上から神鉾が流され、天神祭の無事と安全、浪速の繁栄が祈願されます。橋のたもとには鉾流斎場の鳥居も鎮座。橋の上から眺めた夕暮れの中之島は、ほんのりオレンジ色にそまっていました。
鉾流橋を渡ると最後の目的地、大阪市中央公会堂に到着。この辺りは京阪なにわ橋駅ができたり、中之島公園が整備されたりして、近年美しく生まれ変わりました。夜はライトアップもされるし、デートスポットの穴場ですよ!
今日は、そんな公会堂の裏側がのぞけるというガイドツアーに参加しました。このツアーでは、公会堂の歴史や装飾などの見どころをスタッフの解説を交えながら、ふだん非公開の室内を見学することができます。
西天満エリアに漂っているのは、古きよき昭和の風情。お隣に北新地があるとは思えないのんびりとした雰囲気がすっかり気に入ってしまいました。路地裏には個性的な飲食店も点在していると聞いたので、また近いうちに歩いてみたいと思います。
公会堂のすぐそばにある「みおつくしプロムナード」の木々は少しずつ紅葉が始まり、中之島も冬支度が始まったようです。光のルネサンスも、もうすぐだなあ。