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■大阪市立東洋陶磁美術館で知る「器」の愉しみ
平成23年1

大阪市立東洋陶磁美術館で知る「器」の愉しみ

大阪市立東洋陶磁美術館は、大阪市中央公会堂の東側、中之島公園の緑に溶け込むようにして建つ陶磁器の専門美術館です。今回の散策は、特別展「ルーシー・リー展」が開催中の同美術館を訪れてみたいと思います。
地図
【中之島公園に佇む「大阪市立東洋陶磁美術館」】
東洋陶磁美術館外観 東洋陶磁美術館は、世界的に有名な「安宅コレクション」を住友グループ21社から寄贈されたことを記念し大阪市が設立したもので、昭和57(1982)年に開館しました。中之島公園という立地には、中央公会堂や中之島図書館とともに文化の中心となってほしいという寄贈者の思いが込められています。近年の中之島は再開発によって公園が整備され、国立国際美術館も移転するなど、名実ともに文化ゾーン。寄贈者の先見性に驚かされます。

同館は「安宅コレクション」の中国・韓国陶磁を中心に、濱田庄治作品などの寄贈や、日本陶磁の収集などにより、東洋陶磁のコレクションとして世界第一級の質と量を誇っています。展覧会はそれらを展示する常設展と、企画に沿った特別展が年に1〜2回開催されます。
館内は、中之島の風景を切り取るように大きく採られた窓が印象的でした。北側には堂島川を、南側からは中之島公園越しに土佐堀川をのぞむことができます。チケットを購入して階段を上ると、「ルーシー・リー展」の入口に到着しました。
中之島公園を望む 土佐堀川を望む
川を意識した作品展示


【陶器のイメージを心地よく裏切る「ルーシー・リー展」】
青釉鉢
青釉鉢 1978年頃 磁器 東京国立近代美術館蔵
ルーシー・リー 特別展エントランス
本展の正式名称は「ルーシー・リー展−ウィーン、ロンドン、都市に生きた陶芸家」。20世紀を代表する陶芸家、ルーシー・リーの回顧展で、初期ウィーン時代からロンドンでの円熟期にいたる約200点の作品で創作の軌跡をたどるというものです。普段この美術館を訪れるのは50〜60代の方が多いそうですが、同展では、美術専攻の学生やカップルも訪れるそうです。

みなさんは“陶磁器”にどんなイメージがありますか? 私がイメージするのは、渋い、シック、幽玄などでした。けれどルーシー・リーの器はその印象をガラリと変えてくれます。彼女が作るのは、静謐でありながら存在感を放つ器です。ピンクやブルーの釉薬(うわぐすり)を使った色彩。滑らかなものからザラついたものまでバラエティ豊かな質感。抜群のバランス感覚で描かれたシャープなフォルム。どれも親しみやすさと気高さが共存する不思議な魅力を放っています。

線文円筒花器(青)
線文円筒花器(青) 1976年頃
磁器 個人蔵
ピンク線文鉢.jpg
ピンク線文鉢 1980年頃 磁器 個人蔵

ウィーンに生まれ、工業芸術学校で陶芸を学び、作家としての地位を確立するも戦争で亡命を余儀なくされ、その後はロンドンで活動したルーシー・リー。展覧会ではその作風の変遷も時系列に説明されています。今回の展覧会では彼女がかつて生活費を得るために作っていた陶製ボタンも展示され、女性に人気を博しているとか。ボタンというよりアクセサリーのような愛らしいデザインで、彼女の世界をぐっと身近に感じられます。
それから、現代作家らしくテレビ出演時の映像や写真、手紙なども残されており、それらの展示から当時の心情をうかがい知ることができます。
制作風景のパネルも
ミュージアムショップ.jpg ビデオシアター

【東アジアの名陶磁器を蒐集した常設展示】
重文・法花 花鳥文 壺 重文・法花 花鳥文 壺 自然採光室  自然採光室
解説プレート 韓国陶磁室
ルーシー・リー展の展示が終わって、動線にしたがって進むと、日本・中国・韓国の展示コーナーとなります。ルーシー・リー展の関係で通常の約1/3の数、約120〜130品が展示されていました。鳥や植物などの繊細な模様が描かれた陶磁器が静かに佇んでいます。

ところで、陶磁器はどんな見方、楽しみ方をすればよいのでしょう? 学芸員の野村さんに尋ねてみました。「あまり難しく考えず、本物を見てどう感じるかではないでしょうか。今までにない感覚が少しでも生まれて、なぜ作ったんだろう?どうやって作ったんだろう?と関心が広がればきっと楽しめると思います」。そんな鑑賞者の思いを汲むように、作品には丁寧な解説が添えられています。また、天窓から自然の光を取り込んだ自然採光室では陶磁器本来の色が楽しめるなど展示方法にも工夫が凝らされています。

実は、焼き物と中之島一帯には何かと縁があるのだそうです。平安〜鎌倉時代にかけて造幣局付近に瀬戸内海最大の港が置かれ、中国や韓国から貴重な陶磁器が運ばれたことが出土品から判りました。大阪の文明開化はあの辺りから始まったのは知っていましたが、それよりもずっと前から歴史を刻む土地だったんですね。また、江戸時代の中之島は諸藩の蔵屋敷が置かれましたが、今の大阪高等裁判所の場所には高級磁器の「鍋島焼」で有名な鍋島(現在の佐賀県)藩の蔵屋敷があったとか。もしかすると中之島の地下にはいろいろお宝が眠っているのかも・・・?!

東アジアの焼き物の歴史を一望できる大阪市立東洋陶磁美術館。「ルーシー・リー展」は陶芸初心者の方が器に親しむよい機会になるのではないでしょうか。鑑賞後はGARBをはじめとした周辺のオシャレなカフェに行ったり、水鳥たちが羽根を休める川辺の公園を歩いたりと、デートコースにもピッタリですよ。ぜひみなさんも訪れてみてくださいね。


※次回の散策のテーマは「花とスイーツ(仮)」(3月アップ予定)です。どうぞお楽しみに!

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◆大阪市立東洋陶磁美術館
所在地 大阪市北区中之島1-1-26
問合せ 06-6223-0055
URL http://www.moco.or.jp

◆特別展「ルーシー・リー展−ウィーン、ロンドン、都市に生きた陶芸家」
会期 2011年12月11日(土)〜2月13日(日)
会場 大阪市立東洋陶磁美術館
開館時間 9:30〜17:00
休館日 月曜日
問合せ 大阪市立東洋陶磁美術館 電話:06-6223-0055
URL http://www.lucie-rie.jp
料金 一般900円(720円)、高大生540円(450円)
・( )内は20名以上の団体料金
・身体障害者手帳、ツルのマーク付健康手帳、
 大阪市敬老優待乗車証などをお持ちの方、中学生以下は無料
 

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